Editor's Columns

天王寺動物園のゴーゴ、2011年8月6日

2011/9/25: Pinch, Dash and Splash! [1]

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今週はようやく本サイトの開設にこぎつけることができました。たくさんの方々から反響を頂きとても嬉しかったです。ありがとうございました。

今日のコラムのタイトルは『Pinch, Dash and Splash!』なのですが「困った、ダッシュだ!はじけろ!」などという意味ではありません。料理用語です。この言葉は英語レシピになれていらっしゃる方は何度か目にされたことがあるかと思います。これらの語句の説明の前に、まず皆さん、日本語のレシピに出てくる『少々』や『ひとつまみ』って正しく理解されていますか?

ひとつまみ、少々はどれくらい?

これらの表現ははっきりと数値化できないような少量のものや作る人の感覚で変えてもよいもの(私の解釈です)について表すときに使用されます。以下にその分量の大きさの順列を記します:

  ごく少々 < 少々 < ひとつまみ < ひとつかみ

「少々」は「ひとつまみ」よりも少ないのですよね(これを逆と思っていらっしゃる方が結構いらっしゃるようですが)。

ではこれらは具体的には一体どれくらいの量を示しているのでしょうか?

ごく少々:少々よりもさらに少ないほんのわずかな量。小さじ16/1程度
少々:人さし指と中指の二本でつまんだ量。小さじ1/8程度
ひとつまみ:親指・人さし指・中指の三本でつまんだ量 小さじ1/4程度
ひとつかみ:軽く片手でつかんだ程度の量。大さじ2杯程度

これらの量はあくまで目安です。文献によっては「ひとつまみ」は小さじ1/2程度としているものもあります。ですが「ひとつまみ」とは「少々」よりも多いのだということは少なくともおぼえておいてください。

英語にも『ひとつまみ』はあるの?

では、これらの表現に相当するものは英語レシピにもあるのでしょうか?はい、もちろんあります。そしてアメリカのお料理好きな方々も結構この曖昧な表現に悩んでいるようです...。日英の対訳を見る前に、まずは英語の曖昧表現を整理しておきましょう。

計量スプーンやスケールで測れないような少量のものや感覚で多少変わってもよいようなものについての代表的な英語レシピ用語には以下のものがあります:

  smidgen < pinch < dash < splash < dab < handful

pinchは固形物(塩など)のみについて、dashは固形・液体両方に、splashは液体に、そしてdabは粘りけのある固形物(バターや味噌など)について使用します。

『ひとつまみ』の英訳は『PINCH』???

ここで注目。和英/英和の辞書では紙媒体、ネットに関わらず、『ひとつまみ』の対訳として『pinch』、或いは『pinch』の和訳として『ひとつまみ』をあげているものが非常に多く見受けられます。言葉の表面だけを見ればそのような訳になるかもしれません。しかし、これは正しいのでしょうか?答えはNOです。私の見解では(レシピであるということを考慮した場合)この訳語は完全な誤訳です。では何が正しい表現なのでしょうか?残念ながら今日は時間切れです。続きは次回へ。


photo shot by Cape Daisee, on April 12th, 2011




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