言語資源を作成していく(タグを付与する)うえで、使いやすいツールというものは必要不可欠です。良いツールは作業効率を最大限にまで伸ばし、ミスとアノテーターの疲労を最小限に抑えてくれますので、結果的に良質なデータが出来上がるというわけです。

このツール、操作がシンプルで使い勝手が良いというのは言うまでもないことなのですが、何よりも重要なのはその表示画面の美しさです。長年の経験からこの「美しさ」という点には私、確信を持っております。見やすいフォント、美しい配色（美しいとは派手であるということでは決してありません）は作業効率に大きく関係します。

タグが十種類程度というものならまだよいのですが、数十個に及ぶ場合、画面に色がついているかどうかでその記憶は大きく変わってきます。データ編集にあたり、私は画面全体を視覚的にとらえながら作業を進めますのでこの点がとても重要なのです。(文字データを視覚的にとらえるのはもしかしたら個人差、或いは性差、というものが多少はあるのでしょうが...）

使いやすくて希望どおりの配色や配置で表示してくれるエディタというものはなかなか存在しません。特に複雑な木構造を表示する場合にはこのことは重要なのですが、残念ながら私の希望にかなうものは見つけることができませんでした。なので、うちではオリジナルのエディタを作成してきました。ここではそのうちの二点をご参考までに紹介します。

APPRIVOISER(アプリボワゼ)は、XML形式によって記述された統語情報を見やすい木構造として画面に表示します。各階層ごと(深さごと)に自由に展開したり折りたたんだりできますのでツリー構造の全体像が非常に把握しやすく編集も容易です。統語情報以外にも意味属性、品詞情報、照応情報など任意の情報が設定できます。UTF-8対応ですので中国語や仏語などの多言語にも対応。以下にその表示例を示します。

以下はxmlによって記述された木構造のテキストデータです：

このデータをAPPRIVOISERで読み込みますと：

最初の文Sの階層を一段階展開してみます：

さらにPP句とVP句の中を一段階展開：

すべてを展開しますと以下のように：

タグの編集は右クリックで簡単にできます：

CestSiBon（セ・シ・ボン）は比較的シンプルなxmlタグの付与（name entityタグの付与など）を行なうためのツールです。こんな単純なエディタ、無料や低価格でネット上ですぐに見つけられるのではとお思いの方もいらっしゃるかもしれません。私も最初はそう思いました。しかし、ないのです。巷に出回っているxmlエディタというものは大抵プログラミング用のものであり、いわゆる文系の人間が画面を目で見て扱いやすいというしろものではないのです。CestSiBonは、容易なタグの書き換え、スムーズで直感的な操作性、目に優しい配色と、素晴らしいエディタなのです

ご覧のように、<>で囲まれたタグ部分は深い赤で表示されます（この部分の色は任意に変更可能）。タグの付与、変更、削除は該当部分を選択し右クリックで編集ウインドウが開きます。行間のサイズにも気を使いました。色々試した結果、これくらいが最も読みやすく編集しやすかったのです。

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